南土山町へ屋根調査に伺いました。

2022.09.20

この度も当社ホームページからのお問い合わせをいただきました。

敬老の日の朝にお電話で「屋根の一部が取れている….」と伺い、急を要する屋根の状況と思われましたが、その日の夕方から近畿地方に接近する台風の直前でしたので流石に出来る事が限られており、何より急な突風などの事故により依頼主様にご迷惑をおかけするのを避ける為、台風一過の本日午後からユックリ調査に伺いました。

屋根材は旧モニエル瓦の品番「ホームステッド」30年前後前の新築分譲地などにかなり使用された外資系のセメント瓦です。

しかし2010年に日本から完全撤退した廃盤瓦で、当時この瓦を使用した家に住まわれるお客様は、台風や劣化などの破損で部分修理が全く出来ません。運良く流通ネットワークに長けた業者や営業マンが日本各地から何とか倉庫の中で埃を被った在庫品などを探し当てても、当時の材料費の数十倍で販売したり、、となかなかいわくつきの製品です。

今回の屋根は端部に施工されているケラバ瓦が留付けされている台座の角材の腐食により角材ごと地上に約2.5m分落下しました。

固定されていたその下の破風板も腐食が始まり出しており、取れた部分は「豆腐に釘を刺した状態」であったと思われます。

今から40〜50年前は分譲地でも新築に所謂、和瓦が施工されている屋根がほとんどでした。そこへこれらの新生瓦が出始めセメント瓦メーカーや、日本瓦を製造していたmade in ジャパンの陶器瓦の製造メーカーも工法が簡素化された「F型瓦※近年呼ばれる平板瓦」を販売して、屋根の戦国時代に入って行った時期と記憶しています。

そして出始めの製品には何でも熟成しきれていない部分が往々にしてあります。近年の施工マニュアル、ガイドラインは熟成され、これでもかと言うほどの緊結方法、下地防水施工要領が義務化されています。

こちらの屋根も1番の問題点は当時の下地施工方法です。本来切妻屋根の端部には風雨などにより雨が差した場合、下地の見えない箇所に「捨て水切り板金」という副資材を設置するのが近年の施工マニュアルです。

写真の様に屋根の端部に「捨て水切板金」を設置して平瓦を納めます。防水2段構えとして「防水シーラー」を貼り付けますが、こちらはあくまで補助的なバックアップ材、材質がスポンジの様な素材で出来ているので屋根上の過酷な条件「紫外線や高温、厳寒」では数年で劣化すると思われます。

仕上がりに木の台座にケラバ瓦が付くと内部は全く見えませんが、この捨て水切り板金が縁の下の力持ちで、雨漏れのリスクから野地板や破風板を守ってくれています。

先ほどの写真でも分かる通り、今回の屋根は水切り板金が入っていません。当時モニエル瓦は特に捨て水切り板金設置を義務付けておらず、専用のシーラーを貼るだけの仕様でした。シーラーだけでは先に述べた様に経年劣化で硬化してしまい、逆に水を引っ張る毛細管現象のような役割を果たして内部の木材を腐食させていたのです。

残りのぶら下がった部分も危険なので専用工具を用意して再度訪問いたします。

今回、腐食部分の改修工事と、上屋の葺き替え工事の御見積をさせていただきます。

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