大所帯の勢いのある屋根屋さんと違い、そろ〜っと! 商いをさせていただいておりますが、さすがに物件が重なり過ぎてパニック気味です。
しかし、お客様にご迷惑はおかけできません。この新築上棟の合間を縫って、決まっている営繕工事などをやっつけていきます!
まず一軒目、同じ市内の冨波甲の弊社OBのお客様より、母屋の降り鬼瓦が外れて下屋と隣接する離れの瓦を破損させた!との依頼を受けておりました。
日本家屋のポピュラーな入母屋屋根に豪華さを演出するために取付けられた降り鬼瓦は、個人的には本当に怖いです! 過去の修繕工事時にブログに呟きましたが、年月も経った事ですし再度ご説明がてらの掲載といたします。
降り棟はその特性上、屋根の左右、本棟から軒先に向かって勾配なりに付いています。写真の白マルのように、施工時は水平に延びる陸棟と降り棟の取り合い箇所は職人技術により、ピッタリとくっ付いて施工されています。
しかし、長年の自然変象(落雪時の引っ張り現象や、台風などの災害)で、地球の引力に逆らえず徐々に徐々にした方向にズレ下がります。その先端で一生懸命支えている鬼瓦も緊結されているのは銅線の束。ご存知の通り、銅は鉄、アルミ、亜鉛に比べれば安定金属ですが、長年をかけ腐食します。緑青色に変色した後、酸化性酸、強いアルカリや硫化物の条件下や高速流水のもとでは腐食を促進させます。近年では気候的に問題になっている酸性雨などは代表的な一つです。肉厚が削ぎとられ、細くなった銅線が内部でチョン切れてジ.エンド、、となる訳です。
話はここからが重要で、大体この降り棟が付くお宅は、最低屋根の大きな平面全体に左右1箇所づつ、裏表で合計4箇所、大屋根だけでつきます。また、一階の玄関やお庭、駐車場はその流れに面した直下にある邸宅が大半では無いでしょうか?
災難は時と時間を選びません、万一、落下した先が、カーポートや駐車している車やバイクなどの動産なら、えらい災難やった!で、愚痴でも済みますが、これがたまたま真下におられたご家族や、通行人、通行車両だった場合、取り返しがつきません。重さ数キロが二階屋根から転がり落ち、当たりどころによっては冗談無く即死ですよ。この業界で長年仕事をしている1人として、注意して頂きたいと思います。
特に負荷のかかっている降り棟や、隅棟、その中でも昭和40年代から50年代に建てられた建売分譲地の物件に該当するお客様には今一度目線を上げていただき、屋根の点検なども考えていただけるよう、お願いする次第です。
今回は一番太いのを二重にして結束しました。所々に水色ぽくみえるのが元々使用されていた、緑青化した細い銅線です!
棟瓦を元通り復旧し、念の為、鬼瓦の周りをシリコンボンドで補強します。
破損してしまった、下屋の軒先一文字瓦3枚と地瓦6枚を交換して完了です。
二手に別れた2軒目は栗東市十里のお宅に。弊社ホームページをご覧いただいた、東大阪市のリフォーム会社様から御依頼いただいた物件です。温水器が不必要で撤去したらしいのですが、長年温水漏れの成分塩酸やカルキが瓦の表面を白く化学変化させてしまい、お客様のご希望でひどい箇所を交換です。
実は鳥取出張中の5月中頃に伺っていたのですが、この製品旧丸栄陶業(現:栄四郎瓦株式会社)のFF50と言う、平板タイプにしてはいぶし銀色が小割感にマッチした、当時の高級商材で、現在廃盤品。メーカーに頼んで特別に窯に火を入れ焼いて貰いました。
当初の予定、焼き上がり納期を一週間ほど早く納品されたので、グッドタイミングです。